元田事務所ニュース 2021年(令和3年) 3月号 TOPIC 2

 福利厚生  国が促す育児休業取得
男性の育児休業取得促進策の動向
2月号では、男性の育児休業取得についてその実態に触れ、取得の妨げとなっている要囚を探りました。引き続き今号では、なぜ男性の育児休業取得が必要とされるのか、その重要性と、取得率向上につなげるために国が実施する取り組みや、取得促進策についてお伝えします。

●男性の育児休業に対する課題

 男性の家庭生活への参画促進は、少子化対策をはじめ、仕事と家庭の両立、および女性の活躍促進に極めて重要な影響を及ぼします。国は男性の育児休業取得率を、2025年までに30%まで引き上げることを目標としています。
 政府は、我が国全体の育児休業等の取得率向上につなげていくため、2020年から、まず子供が生まれたすべての男性の国家公務員を対象に新たな取り組みを始めました。
 その一つとして育児休業の取得促進にあたり、休業期間について、子の出生1年後までに「1か月以上」を目途としています。取得時期については、特に出産後の女性の心身両面の負担を踏まえ、配偶者の出産後8週間を経過する日までに、一定期間まとめて取得することを推奨しています。
 厚生労働省の調査によると、産後2週間から1ヶ月の間に“うつ”を発症する女性が多く、重症化すると子の虐待につながるリスクが大きいとして、この間に男性が育児を担う重要性に着目されました。具体的には、①上司である管理職による取得勧奨と本人の意向を確認した上での取得計画の作成、②業務分担の見直しによる環境整備、③取り組み状況の適切な人事評価への反映、などに取り組む方針です。
 幹部職員や人事当局が積極的に関与することにより、職場全体で取り組む体制が重要であるとしています。
 2019年に育児休業を取得した男性の割合は、国家公務員では28%と過去最高を更新しました。民間企業の7.48%を大幅に上回っており、更なる取得率の増加が期待されています。

●育児休業取得促進の方向性

 男性の育児休業取得促進策の強化は、民間企業においても検討されており、厚生労働省ではまず職場環境の整備として、事業主に対し、従業員に対する育児休業制度の周知を義務化する方針です。
 また、育児休業の取得促進に対しては、新たな枠組みの見直しや分割取得など、現行の育児休業制度よりも柔軟で取得しやすい新たな仕組みづくりが検討されています。不妊治療の保険適用拡大に向けた工程表も明示され、2021年1月から当面は、助成制度の拡充で支援が行われています。

●職場環境の整備への具体策

 育児休業を取得しやすい職場の環境づくりとして、育児休業制度の周知措置や、研修の開催、相談窓口の設置などが、事業主に義務化される方針です。本人または配偶者が妊娠・出産を申し出た場合は、個別に制度を説明し、意向を確認し育児休業の取得を推奨するなど、男女問わず希望者全員が確実に取得できるような仕組みが求められます。
 また不妊治療と仕事の両立を支援する企業内制度の導入に向けて、事業主向けのマニュアルや個人向けのハンドブックも作成されました。

●育児休業取得促進の具体策

 男性の育児休業の枠組みの見直しでは、権利として子の出生後8週間以内に、最大4週間を2回に分けて、原則2週間前までに申請することができる「男性産休」の制度を設けるとしています。
 その後も子の出生後8週間以内の2回と合わせ、最大4回に分けて育児休業を取得することができる制度の構築が検討されています。また有期契約の非正規労働者に適用されていた「雇用期間1年以上」の取得要件をなくし、従業員1001人以上の企業には、育児休業取得率の公表を義務づけるとしています。

●代替要員と柔軟な働き方

 男性の育児休業取得の義務化は、代替要員の確保に対し、更に厳しい課題を与えています。今後は、コロナ禍による柔軟な働き方と相まって、代替要員に代わる新しい働き方の導入など、変化に対応するだけでなく、変化を起こす意識が必要となりそうです。