元田事務所ニュース 2020年(令和2年) 12月号 TOPIC 2

 安全衛生  トラブルのない働きやすい職場作りのために
職場の安全衛生管理体制
衛生管理者を選任していますか?

2019年度の労働災害による死亡者は2年連続で過去最小、休業4日以上の死傷者数は横ばいとなっている状況下において、労働災害防止のため労働基準監督署による職場の安全衛生管理体制の監督・指導は強化されています。ここでは労働災害防止対策として、事業主の責務である職場の安全衛生管理を進めるうえで、基本となる衛生管理者の選任義務とその職務の重要性を再確認しましょう。

衛生管理者とは
 労働安全衛生法では、各事業場の業種や規模等に応じて、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者及び産業医を選任し、労働基準監督署への報告を義務づけています。なかでも衛生管理者については、業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場についてはその事業場単位に専属の者を選任し、衛生にかかる技術的事項を管理させなければなりません。
 衛生管理者は国家資格(第1種、第2種)です。主な仕事は、作業環境の管理、労働者の健康管理、労働衛生教育の実施や健康保持増進措置などです。週1回以上の職場巡視義務により、設備、作業方法または衛生状態に有害性や危険性がないかを確認し、問題があれば直ちに健康障害を防止するための改善措置を実施する権限を有しています。
労働災害と安全衛生
 厚生労働省の「労働災害原因要素の分析」によると、労働災害発生の主な原因の多くは、労働者の不安全行動によるものです。不安全行動とは、労働者本人または関係者の安全を阻害する可能性のある行動を意図的に行う行為を指します。労力、時間やコストを省くことを優先し、慣れや過信から安全衛生管理意識が低下した結果、労働災害に発展する傾向にあります。
 近年では、長時間労働による過労死やメンタルヘルス不全が増加傾向にあり、脳・心臓疾患等や、心理的負荷による精神障害の認定基準が定められました。
 安全衛生管理や労災防止活動を怠り、労働災害が発生した場合は、事業者としての安全配慮義務違反を問われ、民事上の損害賠償責任も発生します。事故によっては、刑事罰や行政処分が下るなど、社会的な信用を低下させることにもなりかねません。
衛生管理者の職務の重要性
 職場における安全衛生管理に対する取り組みは、労働災害防止対策そのものであり、その中でも衛生管理者は非常に重要な役割を担っています。
 選任義務のある事業場が衛生管理者を選任していない場合、または選任していてもその職務が果たされていない場合は、労働安全衛生法違反として罰則規定による処分があるため、注意が必要です。
 衛生管理者が休業等やむを得ない事由によって職務を行うことができない場合は、代理者を選任することになっています。代理者の条件は、衛生管理者となる資格を有する者に限らず、保健衛生に関する業務に従事していた者または従事した経験のある者で、労働基準監督署への報告義務はありません。また衛生管理者が育児休業などの取得で長期にわたり不在の場合は、別に衛生管理者を選任する必要があります。
 衛生管理者が退職などにより欠員した場合は、都道府県労働局長の許可を受け、特定の者を衛生管理の業務に従事させることを条件として、概ね1年の期間に限り衛生管理者の選任が免除されます。労働者の健康を守る衛生管理者の職務が滞ることのないように、あらかじめ代理者となる人を選出しておくなど、職場の安全衛生管理体制を再確認し、その活動を推進させることが大切です。
 なお、労働者数10人以上50人未満の事業所については、安全衛生推進者を選任し、安全管理者、衛生管理者と同じ業務を行わせる必要があります。 10人未満の事業所についても安全衛生の管理者を決めるなど、実情に応じた安全衛生管理・活動のための体制づくりは必須です。