元田事務所ニュース 2020年(令和2年) 10月号 TOPIC 1

 制度  労働時間短縮、年次有給休暇の取得促進等

働き方改革に活用できる「働き方改革推進支援助成金」

労務や雇用面のさまざまな改革を進めることは、従業員のモチベーションアップにつながり、そこから副次的な効果がさまざまな領域へと拡大します。働き方改革推進のための助成金制度も充実してきています。

 新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営環境にある中で、雇用支援を図る目的の「雇用調整助成金」について注目が集まっています。しかし、それ以外にも厚生労働省所管の雇用関係の助成金は、数多くあります。特に今年度は、働き方改革に関連して時間外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進、同一労働同一賃金などに取り組む企業を支援する助成金の新設や拡充が行われています。ここでは、その中から「働き方改革推進支援助成金」の活用法についてまとめます。
「働き方改革推進支援助成金」は、労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進に向けて雇用環境整備に取り組むことを目的に、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器等の導入などを実施し、一定の改善の成果をあげた中小企業事業主に対して、その経費の一部が支給されるものです。
 この助成金には、中小企業事業主を対象としたものとして、①テレワークコース、②職場意識改善特例コース、③労働時間短縮・年休促進支援コース、④勤務間インターバル導入コースがありますが、交付申請期限が①は2次募集が9月18日、②が9月30日までです。したがって、ここでは③及び④を取り上げます。

労働時間短縮・年休促進支援コース

 このコースの助成金は、労災保険に加入している中小企業事業主を対象に、生産性を向上させつつも、労働時間の縮減や年次有給休暇の取得促進に向けて環境整備に取り組む事業主に対して支援するものです。
 支給対象となる具体的な取り組みとしては、次のいずれか1つ以上を実施しなければなりません。
①労務管理担当者に対する研修 (業務研修を含む)
②労働者に対する研修(業務研修を含む)、周知・啓発
③外部専門家によるコンサルティング
④就業規則・労使協定等の作成・変更
⑤人材確保に向けた取り組み
⑥労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
⑦テレワーク用の通信機器の導入・更新
⑧労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
 なお、⑥~⑧の機器の導入・更新に関しては、シンクライアント以外のパソコンやタブレット、スマートフォンは対象外となるので注意しなければなりません。
 また、この助成金の支給を受けるには交付申請時点で、次のいずれか1つ以上の成果目標を選択し、達成に向けて取り組みを実施しなければなりません。
①すべての対象事業場において、月60時間を超える36協定の時間外労働時間数を縮減させること(時間外労働時間数60時間以下、または60時間超80時間以下に設定)
②すべての事業場において、所定休日を1日から4日以上増加させること
③すべての対象事業場において、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇)のいずれか1つ以上を新たに導入すること
④すべての事業場において、時間単位の年次有給休暇制度を新たに導入すること
 支給額は、成果目標の達成状況に応じて、支給対象となる取り組みの実施に要した経費に応じて支給されますが、具体的には表1のとおりです。
 なお、成果目標に加えて、指定する労働者の時間当たりの賃金額を3%以上または5%以上、引き上げを行うことを成果目標に加えることができ、引き上げ達成時には助成金が加算されます(表3)。

勤務間インターバル導入コース

「勤務間インターバル」とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間数の「休息時間」を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止を図るものです。 2019年4月から、制度の導入が努力義務化されています。
 このコースの助成金は、労災保険に加入している中小企業事業主で、新たに勤務間インターバルの導入に取り組み、労働時間等の設定改善を推進する事業主を支援するものですが、次のいずれかに該当する事業場を有する場合も支給対象事業場となります。
①すでに休息時間数が9時間以上の勤務間インターバルを導入しているが、その対象となる労働者数が当該事業場に所属する労働者の半数以下である事業場
②すでに休息時間数が9時間未満の勤務回インターバルを導入している事業場
 また、この助成金の支給を受けるには、支給対象となる具体的な取り組みとして、前述の「労働時間短縮・年休促進支援コース」と同様の取り組みから1つ以上を実施し、以下の成果目標の達成を目指さなければなりません。
①勤務間インターバル制度を新たに導入する場合には、その事業場に所属する労働者の半数を超える労働者に適用させること
②すでに所属労働者の半数以下に9時間以上の勤務間インタ一バル制度を導入している事業場で、対象労働者の範囲を拡大し、その事業場所属労働者の半数を超える者に適用させること
③すでに9時間未満の勤務間インターバル制度を導入している事業場で、所属労働者の半数を超える労働者を対象として、インターバルを2時間以上延長し、継続した9時間以上の勤務間インターバルとすること
 支給額は、成果目標を達成した場合に支給対象となる取り組みの実施に要しか経費に応じて支給されますが、取り組みの内容によって異なり、具体的には表2のとおりです。
 上記成果目標に加えて、賃金引き上げを成果目標に加えた場合の加算要件、加算額は「労働時間短縮・年休促進支援コース」と同様です。
 なお、いずれのコースも前提条件として、36協定を締結し、年間5日以上の年次有給休暇の取得に関して就業規則等を整備していなければなりません。また、交付申請書は、11月30日までに事業実施計画書などの必要書類を添えて、最寄りの労働局雇用環境・均等部(室)に提出しなければなりません。