元田事務所ニュース 2020年(令和2年) 2月号 TOPIC 1

 制度  テレワーク、時差通勤の導入など
東京オリンピック開催時の働き方の検討
政府はオリンピックが開催される今年の外国人訪日数の見込みの目標を「4000万人」としています。
開催期間中は、公共交通機関の混雑が予想され、通勤に支障がでることも想定し、
開催期間中の社員の働き方を検討しなければなりません。

 いよいよ今年はオリンピックイヤーです。東京オリンピックは7月22日(水)~8月9日(日)、パラリンピックは8月25日(火)~9月6日(日)の日程で開催されます。
 オリンピックを東京へ誘致する際の大きなセールスポイントのひとつは、「世界一コンパクトな都市型大会」の実現というものでした。有明地区の選手村(1万7000人が宿泊可能)から半径8km圏内に、東京圏の33競技会場のうち28会場(約85%)が収まり、世界各国からの取材陣の拠点となる「国際放送センター・メインプレスセンター」も、この圏内にある日本最大の国際会議・展示施設である東京ビッグサイトに設置される予定で進んでいます。
 しかし一方では、開催期間中に東京を中心とする開催地の交通機関や宿泊施設はかなりの混雑が予想されています。
 2019年7月にサイボウズが発表したアンケート結果によると、都内のビジネスパーソン400人のうち、約7割がオリンピック開催期間中の交通機関の混雑に「不安がある」「やや不安がある」と回答をしています。
テレワーク・デイズの推進
 総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府では、東京都および関係団体と連携し、2017年から、2020年東京オリンピックの開会式にあたる7月24日を「テレワーク・デイ」と位置づけ、働き方改革の国民運動を展開しています。 2017年(7月24日のみで実施)には約950団体、6.3万人が、2018年(7月23日~27日の5日間実施)には1682団体、延べ30万人以上が参加しました。3年目となる2019年は、7月22日(月)~9月6日(金)の約1ヶ月間を「テレワーク・デイズ2019」実施期間と設定し、テレワークの一斉実施を呼びかけた結果、2887団体、約68万人の参加があり、大きな広がりを見せました。
 その背景にあるのが、2012年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピックです。同大会では、交通混雑によりロンドン市内での通勤に支障が生じるとの予測から、市交通局がテレワークなどの活用を呼びかけ、これにロンドン商工会議所をはじめとする企業や市民が賛同する形で、約8割の市内の企業がテレワークや休暇取得などの対応を行いました。結果として、開催期間中の交通混雑を回避できたことに加え、テレワークを導入した企業では、事業継続体制の確立、生産性や従業員満足の向上、ワークライフバランスの改善などの成果が得られたと報告されています。

 雇用型テレワークの形態
 テレワークとは、情報通信機器などを活用して、時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働くことができる働き方のことであり、「tele=離れた場所」、「work=働く」を組み合わせた造語です。テレワークには様々な形態がありますが、テレワークのうち雇用型(企業に勤務する被雇用者が行うもの)には、上図のように、①在宅勤務型、②モバイル勤務型、③施設利用型(サテライトオフィスなど)があります。
 また、テレワークの実施はその頻度によって、常時テレワーク型と、テレワーク勤務が週1~2日や月数回、または1日の午前中だけなどに限られる随時テレワーク型があり、実際は様々な形態で導入されています。
テレワークのメリット・デメリット
 テレワークの最大のメリットは、通勤によって生じる負担の解消です。オリンピック開催時には、国内外から多くの観光客が集まり、首都圏を中心とする競技開催地区の公共交通機関は混雑が予想されます。就労日の全部または一部にテレワークを導入することで通勤による労働者のストレスを解消することができ、生産性の維持・向上を図ることができます。また育児や介護などの事情があっても、仕事との両立がしやすくなります。
 企業にとっては、オフィス維持にかかるコストや交通費などの削減が可能となります。
 他方、デメリットもあります。たとえば、労働者にとっては仕事上一人になりがちになること、企業にとっては業務上のコミュニケーションがとりにくい、労働時間管理がしにくいことが挙げられます。
 そこで、対応策として、ビジネス上のコミュニケーションを図るための環境整備、例えばWeb会議サービスや電話会議サービスなどの利用も検討すべきでしょう。
労働時間管理の仕方
 テレワークの労働者は、就業場所の全部または一部が事業場外の労働となるものの、会社は労働時間を適切に管理しなければなりません。オフィス勤務者と同様に始業・終業時刻に基づき管理するのであれば、労働時間の管理方法について確認し、ルールを決めておくことが必要です。労働時間の管理には、①始業・終業時刻の管理と②業務時間中の在席確認の2つの観点があります。また、休憩も与えなければなりません。したがって、メールや電話による報告や勤怠管理ツールなどの利用により労働時間を管理する必要があります。また、事業場外みなし労働時間制の適用も可能ですが、その場合には、①情報通信機器が使用者の指示により常時通信可能な状態にしておくこととされていないこと、②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと、とする要件を満たさなければなりません(通達:平16.3.5基発0305001、平20.7.28基発0728002)。
時差通勤とフレックスの導入
 オリンピック開催時の公共交通機関の混雑を想定して時差通勤やフレックスタイム制を導入する方法もあります。時差通勤制度を利用すれば、競技開催日の交通機関の混雑時と通勤時間帯が重なった場合などにはそれを避けることができます。通勤ストレスが軽減され、仕事に集中することができます。また、オリンピック開催期間に限定してフレックスタイム制を導入する方法もあります。フレックスタイム制は、月間の総労働時間から算出した労働時間分働く必要はありますが、始業・終業及び1ヵ月の総労働時間の範囲で労働者の裁量により働くことができます。