元田事務所ニュース 2019年(平成31年) 3月号 TOPIC 1

 法律  準備・検討・策定が急務
労働者の健康情報を管理する取扱規程の策定
労働者の健康状態は、配慮が必要な個人情報にあたります。
その適切な情報管理・運用を図るため、企業に対して取扱規程の策定が求められます。

働き方改革関連法では、労働安全衛生法も一部改正され、産業医や産業保健機能の強化が図られたことにともない、業種・規模を問わず従業員の健康管理に関する情報の取扱規
程の策定が求められることになります。

労働安全衛生法に情報管理の規程が新設
 労働安全衛生法に基づき会社が実施する健康診断などの従業員の健康確保措置や、任意に行う従業員の健康管理活動を通じて得た、個々の心身の状態に関する情報は、個人情報保護法に規定する「要配慮個人情報」(第2条第3項)です。
 そのため会社としては、その情報により労働者が不当な差別、偏見その他の不利益が生じないよう、その取り扱いにとくに配慮し、労働者が安心して産業医などによる健康相談などが受けられるようにしなければなりません。また、労働者の健康確保措置が十分に行えるよう、必要な心身の情報を収集できるようにする必要があります。
 そこで、労働安全衛生法に「心身の状態に関する情報の取扱い」に関する規程(第104条)が新設され、「労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りではない」(第104条第1項)と定められました。この改正を受けて昨年9月、「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」が公表されました。指針では、健康情報の取り扱いに関する原則を明らかにするとともに、企業が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用などを示しています。



取扱規程に定めるべき事項と策定方法
 指針が示す「取扱規程に定めるべき事項」は、次の9項目です。
①心身の状態の情報を取り扱う目的および取扱方法
②心身の状態の情報を取り扱う者およびその権限ならびに取り扱 う心身の状態の情報の範囲(上表参照)
③心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法および本人同意の取得方法
④心身の状態の情報の適正管理の方法
⑤心身の状態の情報の開示、訂正等(追加および削除を含む)および使用停止等(消去および第三者への提供の停止を含む)の方法
⑥心身の状態の情報の第三者提供の方法
⑦事業承継、組織変更にともなう心身の状態の情報の引き継ぎに関する事項
⑧心身の状態の情報の取り扱いに関する苦情の処理
⑨取扱規程の労働者への周知の方法
 なお、②については、「個々の事業場における心身の状態の情報を取り扱う目的や取り扱う体制等の状況に応じて、部署や職種ごとに、その権限及び取り扱う心身の状態の情報の範囲等を定めることが適切である」としています。
 策定にあたっては衛生委員会または安全衛生委員会を活用して、労使関与のもとで検討・策定し、それを共有する必要があるとしています。衛生委員会をもたない常時使用労働者数50人未満の小規模事業場では、関係労働者の意見を聴く機会を活用し、労働者の意見を聴いたうえで取扱規程を策定し、共有すべきとしています。また、取扱規程に関しては事業場単位ではなく、企業単位での策定でも問題ないとしています。
 そのほか指針では、情報の適正な取り扱いの体制整備、運用などについても具体的に示しています。今後は取扱規程の雛形なども整備される見込みです。
 適用は2019年4月1日ですので、ほかの法改正に基づく就業規則の見直しと同時に規程の策定に着手しなければなりません。