元田事務所ニュース 2019年(平成31年) 2月号 TOPIC 1

 法律  新たな在留資格「特定技能」を創設
改正入管法の施行により外国人労働者の受け入れを拡大
2019年4月から改正入管法が施行されることになりました。
「特定技能1号」と「特定技能2号」の新たな在留資格のもと、外国人労働者を受け入れる門戸が拡大されます。

 昨年12月8日に外国人労働者の受け入れを拡大する「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法」(以下、入管法)の改正案が可決、成立しました(以下、改正入管法)。施行は2019年4月予定で直近に迫っています。この改正により、これまで認められていなかった単純労働分野にも外国人労働者の受け入れの門戸が開かれ、我が国の外国人労働者政策は大きな転換期を迎えることになりました。

5年間で最大約35万人の受け入れを想定
 我が国で就労している外国人労働者数は約127万8000人で、前年比18.0%増と過去最高を記録しています(2017年10月末:厚生労働省調査)。しかし、入管法上これまでの制度で外国人が日本で働く場合には、大別すると次の5つのいずれかに限定され、①と④を除くと、一定の実務経験、技術、学歴などの特定要件が必要でした。
①資格外活動(留学生で週28時間以内のアルバイト)
②専門的・技術分野(大学教授等、高度専門職、弁護士、会計士、 医師、介護士、外国料理の調理師等)
③身分に基づく在留資格者(定住者、永住者、日本人の配偶者等)
④技能実習(技能移転を通じた開発途上国への国際協力)
⑤特定活動(EPAに基づく看護師、建設就労者、造船就労者等)
 改正入管法では、新在留資格の創設で、こうした障壁が事実上、取り払われることになります。政府は改正後5年間で最大約35万人の受け入れを見込んでいます。しかし、これは達成目標ではなく、「これ以上は受け入れない」とする入国制限目標となっています。

外国人労働者の管理範囲や業種が拡大
 改正入管法では、これまでのように出入国だけではなく「本邦に在留する全ての外国人の在留」も管理対象の範囲に拡大しました。これにより従来は特別な管理を行っていなかった「高度人材」や「技能実習」などの外国人労働者も管理対象となります。
そして、新たに「特定技能」という属性を加えて管理することとなりました。
 この「特定技能」は、「1号」と「2号」に区分され、「特定技能1号」は即戟力として活躍可能な知識と経験をもち、かつ、日常会話と生活に支障のない日本語能力を有することを要件としています。その能力は試験などで確認するとしています。ほか、家族の帯同は認めず、在留期間の上限を通算5年とする制限などがあります。
 一方、「特定技能2号」は熟練した技能を要する業務に従事する者であり、「特定技能1号」が業所管省庁の定める試験に合格することなど、一定の条件をクリアすれば「特定技能2号」へ移行することができます。「特定技能2号」については、家族の帯同が認められ、滞在期間に制限は設けられていません。
 なお、これら「特定技能」に該当する外国人労働者は直接雇用が原則であり、報酬の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用そのほかの待遇について、日本人との差別的取り扱いが禁止されます。
 また、10年以上滞在していれば永住権の取得申請もできます。ただし、永住権を取得するには、「素行善良」「独立して生計を営むことができる程度の資産と技能がある」「罰金刑や懲役刑を受けていない」「納税などの公的義務を履行している」「公衆衛生面で有害ではない」などの条件を満たしていなければなりません。

管理庁を新設して管理体制を充実
 これまでの入管法では、出入国を管理するだけで在留外国人の管理や支援は行っていませんでした。技能実習生などは職場のトラブルがあっても相談できる窓口がなく、非人道的待遇などで失踪している者が7000人余りもいるといわれ、国会でも取り上げられました。
 改正入管法では、「本邦に在留する全ての外国人の在留」の管理監督を実施する実行機関として「出入国在留管理庁」を新設することにしています。
 この管理庁は、在留資格認定証明書の発行と停止、人手不足の状況確認、外国人材への支援の管理、指導・助言・改善命令などを行うとしています。また、新たに「登録支援機関」と「受入れ機関」を定義し、それらを監督することで、保証金や違約金を徴収するなどの悪質な仲介業者の介在を防止する、同一分野での外国人の転職を支援する、などの機能を有しています。
 このように、出入国在留管理庁のもと、業所管省庁と登録支援機関、受入れ機関の体制整備により、在留外国人の状態監視や管理監督・支援の充実化を図ることになります。これにより、問題の多い技能実習も、諸機関による雇用側への改善指導や、外国人労働者側への支援と相談の体制が揃うことになります。