元田事務所ニュース 2017年12月号 6面 労務管理


トラブル回避の対応術
労務関係の書類はいつまで保存するのか?

 このたび当社に労働基準監督署の調査が入ることになりなした。調査時に用意する書類として、過去2年分の賃金台帳や出勤簿などが示されましたが、こうした労務関係の書類はいつまで保存しておかなければならないのでしょうか。また、電子データのみで保存することもできるのでしょうか?

労務関係文書の保存期間
 企業活動を行う際に作成される様々な文書は、企業にとって重要な情報財産ですので、その作成から保存、廃棄にいたるまでは適切に管理することが重要です。とくに、顧客情報や人事・労務関係の個人情報に関連した文書の管理・保存・廃棄については、個人情報保護法の趣旨も踏まえた細心の配慮が求められています。
 労働基準法(第109条)により、労務に関連して作成される書類として、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類は、3年間保存することが義務付けられています。また、出勤簿またはタイムカードは、「労働関係に関する重要な書類」に該当するとされるので、これも保存期間は3年間です。
 また、ここでいう3年間は起算日も定められていて、労働者名簿であれば労働者の死亡、退職または解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日、出勤簿やタイムカードは完結した日から起算することになっています。

電子データの扱い
 企業活動においては、社内文書を、保管スペースや用紙のコスト削減などから、可能な限り書面ではなく電子データで保存することが当たり前のこととなっています。労働者名簿や賃金台帳なども書面ではなく電子データで保存することも多いでしょう。
 これらの帳簿を電子データで保管することも認められていて、データの保存期間も同じとされますが、その取り扱いについては一定の要件があって、労働基準法にかかる行政通達により詳細に示されています。
 それによると、故意や過失による消去、書換え及び混同ができないようにすることや、保存義務のある内容の画像情報を記録した日付、時刻などの情報も同一の電子媒体上に記録されるとともに、これらを参照することができるようにしなければなりません。
 また、画像情報を正確に記録し、かつ、法定の保存期間にわたって損なわれることがなく保存ができるとともに、労働基準監督官の調査や保存文書の閲贋、提出などが必要とされる場合に、直ちに必要事項が明らかにされ、かつ、写しを提出できるシステムとなっていることが必要とされています。

 このように、出勤簿や労働者名簿、賃金台帳などの労務関係書類は、いつでも労働基準監督署の調査対象となり得る重要な帳簿ですので、少なくとも保存義務のある期間は確実に保存できるようにしておかなければなりません。とくに電子データで保存する場合には、データの不正な消去や改ざんが行われないよう、セキュリティー対策も十分に講じておくことが重要となるでしょう。