元田事務所ニュース 2017年8月号 6面 労務管理


トラブル回避の対応術
苦情・相談窓口は設けなければならない?

 社員からセクハラが起きたときの対応の担当者は決まっていないのか、という質問がありました。決まっていないと答えると、法律で相談や苦情を受ける窓口となる人を決めておかねばならないはずだと言われました。
 当社は小規模なので、わざわざ窓口を設けるまでもないと考えますが、それでも設けなければならないのでしょうか?


男女雇用機会均等法のセクハラ対策義務
 男女雇用機会均等法およびそれに基づく指針では、職場における男女双方に対するセクシュアルハラスメント対策として、労働者からの相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備するなど、必要な措置を講ずることを事業主に義務づけています。
 これは、会社の規模の大小を問わず講じなければならないとされていますので、相談や苦情に対応する担当者をあらかじめ決めて、周知しておく必要があります。
 このほか、事業主は、セクハラ防止に向けての方針を明確にして、管理監督者を含むすべての労働者に対してその方針を周知・啓発することや、実際に相談があった場合は、事実関係を迅速かつ正確に確認し、適正に対処することとされています。
 また、相談者や行為者等のプライバシーを保護し、相談したことや事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発することなども求められています。
 セクハラ対策は企業にとっては負担となる面も多いのですが、対策を講じていないと、やがて行政の是正指導があり、それにも応じない場合は、企業名公表の対象となることがあります。
 こうしたことにならないよう、必要な対策は講じておくことが重要となります。どうしても社内で担当者を選任できない場合は、外部の専門機関などを窓口とすることも一つの方策でしょう。

「マタハラ」への対策
 均等法では、職場における妊娠、出産等に関するハラスメント(マタニティハラスメント)についても、セクハラと同様に、相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備や防止に向けての方針などの明確化と、管理監督者を含む労働者への周知・啓発などを事業主に義務づけています。
 また、均等法と育児・介護休業法については、企業が法違反の是正を求める勧告に従わず公表された場合に、厚生労働省はその企業のハローワークでの新卒求人を受理しない取り組みを行っています。今年1月からは、マタハラに対する法律で義務づけた防止策を講じなかった企業に対しても指導が行われ、是正され
てから一定期間経過するまで求人を受理しないこととするように制度を改めています。
 このように、近年は職場におけるさまざまなハラスメントに対して、企業側が義務や責任の一端を負うことが避けて通れなくなっています。セクハラだけではなく、その他のハラスメントの相談についても一体的に相談窓口を設置し、苦情や相談も一元的に受け付ける体制の整備が望ましいといえるでしょう。