元田事務所ニュース 2017年7月号 4面・5面 参考資料

職場における熱中症予防対策
従業員を熱中症から守りましょう

 このほど厚生労働省が発表した「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、猛暑だった平成22年以降、職場での熱中症による死亡者数及び4日以上休業した業務上疾病者数(以下、合わせて「死傷者数」という)は、毎年400~500人台で高止まりの状態にあります。
 また、今年の夏は全国的に気温が平年並みか、平年よリ高くなることが見込まれ、熱中症による労働災害が多く発生することが懸念されています。
 そこで今号では、前述の厚生労働省の発表を参考にしながら、職場における熱中症予防のためのポイントをご紹介します。対策をしっかり講じて、暑い夏を乗リ切りましょう。
※熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温などの症状が現れる。

職場における熱中症による死傷者数
 過去10年間(平成19~28年)の職場での熱中症による「死傷者数」は、平成22年に656人と最多で、その後も400~500人台で推移。平成28年の死亡者数は12人と前年に比べ17人減少したものの、死傷者数は462人で、依然として高止まりの状態にある。

業種別発生状況
 過去5年間(平成24~28年)の業種別の熱中症による死傷者数をみると、建設業が最も多く、次いで製造業で多く発生しており、全体の約5割がこれらの業種で発生している。

時間帯別発生状況
 過去5年間(同)の時間帯別の熱中症による死傷者数をみると、14~16時台に多く発生している。なお、日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見される。

作業開始からの日数別発生状況
 過去5年間(同)の作業開始日から熱中症発生日までの作業日数別の死亡者数をみると、全体の5割が「高温多湿作業場所」で作業を開始した日から7日以内に発生している。

職場における熱中症の死亡事例
 平成28年の熱中症による死亡者数は12名で、その発生状況の概要は、①災害発生場所では、WBGT値※の測定を行っていなかった。
②計画的な熱への順化期間が設定されていなかった。
③事業者による水分及び塩分の準備がなされていなかった。
④健康診断が行われていなかった。
※WBGT値とは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熟を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。

【職場における熱中症の最近の死亡事例】

発生月 7月
業種  食料品製造業
年齢  50代
発生状況
被災者は7時50分頃から工場内で製品を充填する充填機の操作を行っていた。14時20分頃、上司がしゃがんでいる被災者を発見したが、めまいがする程度で大丈夫と言っていたため、エアコンがある部屋へ移動させた。被災者は自ら靴や保護帽を脱ぎ、水筒の蓋を開けて飲んだが、10分後、突然床に崩れるように倒れ、救急車で病院に搬送されたが、6日後に死亡した。
・水分や塩分の摂取は労働者任せであった。

発生月 8月
業種  商業
年齢  20代
発生状況
事業場にて商談、展示車両の洗車業務等に従事していた被災者ガ、17時30分頃、事業場内の清掃作業中に頭痛を訴えた。2階の休憩室で休養し、19時過ぎに帰宅した。翌朝、起床して来ないことから、家族が様子を見に行ったところ、呼吸停止の状態で発見された。
・WBGT値の測定を行っていなかった。

発生月 9月
業種  建築工事業
年齢  30代
発生状況
屋根の防水工事において、被災者は8時から当該工事の補助作業に従事していたが、17時頃作業終了後、同僚と現場近<の宿舎に徒歩で戻り、17時50分頃、宿舎エレベーターを降りたところで意識を失い倒れた。直ちに病院に搬送されたが、翌日死亡した。
・被災者に対して熟への順化期間は設けられていなかった。
・被災者に対する健康診断が実施されていなかった。


熱中症予防対策

【作業環境管理】
◆WBGT値(暑さ指数)の把握・低減
 あらかじめ準備した、JISに準拠したWBGT値(暑さ指数)測定器を使用し、WBGT値を随時把握しましょう。
 WBGT値が基準値を超え、または超えるおそれのある場合には、WBGT値の低減、休憩時間の確保などの対策を徹底しましょう。
◆休憩場所の整備等
 休憩場所には、氷、冷たいおしぼり、水風呂、シャワー等の身体を適度に冷やすことのできる物品及び設備を設けましょう。また、水分及び塩分の補給を定期的かつ容易に行えるよう飲料水、スポーツドリンク等の備付け等を行いましょう。
【作業管理】
 7月には梅雨明けを迎える地域が多く、急激なWBGT値(暑さ指数)の上昇が想定されます。その場合、労働者は熱に慣れていませんので、WBGT値に応じ、作業の中断、短縮、休憩時間の確保を徹底しましょう。また、水分及び塩分を積極的に取りましょう。
【健康管理】
 睡眠不足、体調不良、前日の飲みすぎがないか、当日は朝食をきちんと取ったか、作業開始前の確認を徹底しましょう。
【労働衛生教育】
 作業を管理する者や労働者に対して、あらかじめ、①熱中症の症状、②熱中症の予防方法、③緊急時の救急処置、④熱中症の事例について、労働衛生教育を行いましょう。
【異常時の措置】
 少しでも本人や周りが異変を感じたら、躊躇せず救急隊を要請する、病院に搬送するなどの措置を取りましょう。急に容体が悪化し、死亡する事例が発生しています。