元田事務所ニュース 2017年6月号 4面・5面 参考資料

職場のパワーハラスメントに関する実態調査
パワハラの判断に7割が苦慮

 このほど厚生労働省が発表した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年間に32.5%の人が職場でパワーハラスメント(パワハラ)を受けていたことが判明。その一方、回答企業の70%以上で、パワハラかどうかの判断が難しいという点が、取組を進める上での大きなネックとなっていることがわかりました。
 この調査は昨年7~10月に実施。従業員30人以上の企業4,587社が回答した企業調査と、民間企業に勤務する20~64歳の男女1万人にインターネットを通じて回答を求めた従業員調査が行われました。

パワハラの発生状況
 過去3年間にパワハラを受けた経験があると回答した人は32.5%(およそ3人に1人)と、前回平成24年度の調査の25.3%(およそ4人に1人)よりも増加している。
 パワハラを受けたことによる心身への影響として、何度も繰り返しパワハラを経験した人の36.1%は眠れなくなったり、通院や服薬をした人も20.9%いた。

パワハラに関する相談内容と対応
 過去3年間に、1件以上パワハラに該当する相談を受けた企業は36.3%となっている。
 パワハラに関する相談内容(複数回答)として、「精神的な攻撃」が73.5%で最も多く、「人間関係からの切り離し」(26.5%)、「過大な要求」(21.2%)と続いている。
 また、加害者に対する対応(同)として、「口頭指導」が72.8%で最も多く、「配置転換」(44.8%)、「書面による指導」(25.6%)、「減給など、解雇以外の懲戒処分」(22.2%)、「被害者への謝罪」(20.7%)となっている。

パワハラが発生している職場
 パワハラに関する相談があった職場に当てはまる特徴(複数回答)として、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」が45.8%で最も多く、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場」(22.0%)、「残業が多い/休みが取り難い職場」(21.0%)、「正社員や正社員以外(パート、派遣社員等)など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」(19.5%)が続いている。

パワハラに関する相談件数増加の理由
 3年前と比べパワハラに関する相談件数が「増加した」企業は28.8%。その理由(複数回答)として、「パワハラに対する関心が高まった」が42.5%と最も多く、「職務上のストレスが増加している」(41.1%)、「パワハラについて相談しやすくなった」(40.9%)、「業務の負担が増加している」(38.5%)が続いている。

パワハラの予防・解決のための取組状況
 パワハラの予防・解決に向けた取組を「実施している」企業は52.2%と半数を超える一方で、「特に取組を考えていない」企業は25.3%あった。
 従業員規模別にみると、1,000人以上の企業では88.4%が実施しているが、規模が小さくなるほど比率が低くなり、99人以下では26.0%だったが、前回平成24年度の調査と比較すると、どの規模でも実施率が高くなっている。

パワハラの予防・解決のための取組の効果
 企業がパワハラの予防・解決に向けた取組を積極的に実施すると、従業員にとっては相談がしやすくなるとともに、企業にとってもその実態が把握しやすくなる。
 また、勤務先のパワハラの予防・解決のための取組の実施状況別に、過去3年間にパワハラを受けたと感じた経験の比率をみると、「経験しなかった」比率は、「積極的に取り組んでいる」が77.5%に対し、「全く取り組んでいない」は70.5%と、積極的に取り組んでいるほど「経験しなかった」比率が高まる傾向がある。
 次に、パワハラの予防に向けて実施している取組(複数回答)として、「相談窓口を設置した」が82.9%で最も多く、次いで「管理職を対象に講演や研修会を実施した」(63.4%)、「就業規則などの社内規定に盛り込んだ」(61.1%)となっている。
 そのうち、実際にパワハラの予防に効果を実感できた取組(同)として、「管理職を対象に講演や研修会を実施した」が74.2%で最も多く、「一般社員等を対象に講演や研修会を実施した」(69.6%)、「相談窓口を設置した」(60.6%)が続いている。(4ページの図参照)

パワハラの予防・解決のための取組を進める上での課題
 最も多いのは「パワハラかどうかの判断が難しい」で70.9%と、次に多い「発生状況を把握することが困難」(35.6%)の約2倍となっている。(下図参照)
 次に、取組を進めることで懸念される問題(複数回答)として、「権利ばかり主張する者が増える」が56.9%と最も多く、「パワハラに該当すると思えないような訴え・相談が増える」(48.9%)、「管理職が弱腰になる」(43.6%)が続いている。
 また、自分の勤める企業が取組を実施していることを把握している従業員の比率が低いため、従業員に周知することにも留意する必要がある。