元田事務所ニュース 2017年2月号 3面 参考資料

賃金不払残業の解消のための取組事例
事例1(業種:製造業)

□賃金不払残業の状況
 会社は、ICカードによる始業・終業時刻の入力と、入退門記録により労働時間を管理していたが、多くの労働者に終業時刻と退門時刻の乖離があり、最長では12時間の乖離が認められた。乖離の理由は、「自己研修」や「本人都合による業務外の出社」などとされていたが、eメールの送受信記録から、虚偽の理由が申告されている疑いが認められた。

□労基署の指導内容
 割増賃金を適切に支払っていないことについて是正勧告を行った。また、労働時間について聴き取りを行うなど実態調査を行った上で、不足額を支払うこと、労働時間を適正に把握すること、時間外労働を削減することについて指導した。

□企業が実施した解消策
 労働時間確認書を提出させるなどの実態調査を行った結果、賃金不払残業が認められたことから、不払となっていた14ヵ月間の割増賃金を支払った。
 また、①始業・終業時刻と入退門時刻に30分以上の乖離が認められた場合に詳細な理由を申請させ、上司の承認を得ること、②休日出勤を行う場合は事前に申請をさせるとともに、休日の入退門による時間管理を実施、③正しく自己申告が行われているか現場の実態把握を行うため、人事責任者と労働者の面談を実施するなどの改善策を講じた。


事例2(業種:商業)

□賃金不払残業の状況
 会社は、ICカードにより始業・終業時刻を入力し労働時間を管理していたが、労基署が夜間に立入検査(夜間臨検)を行った結果、ICカードによる終業時刻の入力後に労働している実態が認められた。
 さらに、パソコンのログ記録、eメールの送信記録、防犯カメラの記録などから、賃金不払残業の疑いが認められた。

□労基署の指導内容
 労働時間についての実態調査を行うよう指導し、その結果確認した賃金不払残業について是正を勧告した。また、賃金不払残業の原因分析と撲滅に向けた取組を行うよう指導した。

□企業が実施した解消策
 社内アンケート調査の結果、賃金不払残業が認められたことから、不払となっていた8ヵ月間の割増賃金を支払った。
 また、①代表取締役による「賃金不払残業撲滅宣言lを行うことにより、意識・風土の改善を図ること、②lCカードの始業・終業時刻を見える化し、責任者が随時確認できるようシステムを改修するとともに、複数人でチェックする体制を確立、③所定労働時間内に業務を終了できるよう業務の内容・人員の見直し(欠員部署に対する配置転換、パート労働者の活用など)などの改善策を講じた。