元田事務所ニュース 2016年10月号 6面 労務管理

トラブル回避の対応術
病気休職中の社員の定年後再雇用はどうなる?

  当社には現在、病気療養のため休職している社員がいて、その社員がまもなく定年(60歳)を迎えることになりますが、定年前に復帰できる見込みはありません。
 就業規則に基づいて、定年退職となる者が希望すれば再雇用していますが、休職している者は初めてですので、この場合はどのような扱いがよいのでしょうか?


定年と継続雇用制度

 一般的に、定年とは、労働者が一定の年齢に達したときに労働契約が終了することをいいますが、定年による退職を定める場合は就業規則などに明記しておかなければなりません。
 一方、「高年齢者雇用安定法」(第9条)では、65歳未満の定年を定める事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃止のいずれかの措置を講じなければならないとされています。
 このうち、②は定年退職後の再雇用制度も含まれますが、原則として希望者全員を制度の対象とすることが必要です。
 しかし、同法の指針において、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないことなど、就業規則に定める解雇事由または退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合には、継続雇用しないことができるとされています。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められることに留意する必要があります。

休職中の場合の定年後再雇用

 休職とは、労働者が傷病などで相当期間働けない状況となった場合に、労働契約関係を維持したまま、一定期間就労を免除することをいいます。このように休職は労働契約が維持されていることが前提ですので、質問のケースのように、休職中に労働契約の終了となる定年に達した場合、特段の定めをしていないときにどのような扱いをすればよいか、という問題に直面します。
 前記のとおり、高年齢者雇用安定法では、定年後の継続雇用制度を導入している場合は原則として希望者全員を対象としていなければなりませんので、休職中であっても定年後の継続雇用(再雇用)の希望の有無を本人に聴く必要はあるでしょう。
 また、希望があった場合に、休職中の労働者が「心身の故障のため業務に堪えられないと認められる」などの解雇事由に該当するといえるかどうか、確認、検討の余地は残りますが、病気休職中であることだけをもって直ちに継続雇用(再雇用)はできないと結論づけるのは、合理性や社会通念上からみて問題が生じる可能性はあります。
 休職中の労働者が実際にどのような健康状態にあるのか、再雇用後に予定されている業務に従事する場合にどの程度まで回復していることが必要なのか、さらには、完全に回復しなくても従事できる負担が少ない他の業務への配置が可能かどうかなど、じゅうぶんに検討したうえで判断しなければならないでしょう。