元田事務所ニュース 2016年09月号 3面 安全・労働衛生

職場の安全&衛生
治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン

ガイドラインの必要性

 労働者が私傷病で、がん、糖尿病、脳卒中等になった場合、企業がその労働者の適正配置や雇用管理等に苦慮する割合が90%にのぼっています。
 また、病気になった労働者にとっても、治療と職業生活の両立が重要な課題となっています。そこで、事業場が参考にできるガイドラインが必要とされたことにより、本年2月に、厚生労働省から「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」が示されました。今回は、このガイドラインのポイントをみていきたいと思います。

ガイドラインのポイント

1治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備
①労働者や管理職に対する研修等による意識啓発
 各企業では、困っているもののどうすべきかといった意識化までには至っていないのではないかと思います。そこで、まずこのような問題があるということを意識してもらうことが必要です。
②労働者が安心して相談・申出を行える相談窓口の明確化
③短時間の治療が定期的に繰り返される場合などに対応するため、時間単位の休暇制度、時差出勤制度などの検討・導入
 きめ細やかで、利用しやすい制度ができれば、病気を克服しようとする労働者を後押しすることができます。
④主治医に対して業務内容等を提供するための様式や、主治医から就業上の措置等に関する意見を求めるための様式の整備
 専門家の意見を伺うことは、企業が判断する上でとても重要なことです。
⑤事業場ごとの衛生委員会等における調査審議
 組織的に検討することにより、会社の管理体制の中でどうするかといった視点が盛り込まれることになります。

2治療と職業生活の両立支援の進め方
①労働者が事業者へ申出
◆労働者から、主治医に対して、一定の書式を用いて自らの業務内容等を提供
◆それを参考に、主治医が一定の書式を用いて症状、就業の可否、時短等の望ましい就業上の措置、配慮事項を記載した書面を作成
◆労働者が、主治医に作成してもらった書面を事業者に提出
②事業者が産業医等の意見を聴取
◆事業者は、労働者から提出された主治医からの情報を産業医等に提供し、就業上の措置、治療に対する職場での配慮に関する意見を聴取
③事業者が就業上の措置等を決定・実施
◆事業者は、主治医、産業医等の意見を勘案し、労働者の意見も聴取した上で、就業の可否、就業上の措置(作業の転換等)、治療に対する配慮(通院時間の確保等)の内容を決定・実施
*ここでは、具体的な支援内容をまとめた「両立支援プラン」の作成が望ましいとされています。

各職場での実践

 各企業においてはガイドラインを理解し、それを実践してみることが重要だと思います。進め方を参考にして、それぞれの職場にあった治療と職業生活の両立支援対策を確立していただければと思います。