元田事務所ニュース 2016年06月号 6面 労務管理

トラブル回避の対応術

業務委託契約を適用するには


 当社は生命保険の代理店を営んでいますが、保険外交員とは業務委託契約を締結しています。
 このほど、一部の外交員については会社の指示で特別な仕事をさせることが必要となり、当社とは雇用関係に切り替える検討をしています。
 そのなかで、仕事上、時間や場所などを自分で決められる裁量が大きい外交員については業務委託契約のままとしたいのですが、その区分をどう判断すればよいでしょうか?


業務委託契約と労働契約
 労働契約を結んで雇用される労働者は、労働関係の法令によって保護されるのに対して、業務委託や請負契約を結んだ場合は、個人事業者として他人の指揮命令を受けずに仕事をすることになります。したがって、基本的には労働者を保護する法令は適用されません。
 また、業務委託や請負契約の場合、一般的には、報酬は出来高払いなどによって支払われ、仕事をする時間や就業場所の拘束が少なく、委託側の就業規則も適用されず、労働保険などにも加入しないといった取扱いがなされることになります。
 このように、労働契約と業務委託契約では大きな違いがあり、形式上で業務委託契約書を結んだとしても、実態からみて労働契約であると認められるような場合は思わぬトラブルに発展することも考えられます。

労働者の定義
 労働基準法(第9条)では、「労働者」は、事業に使用される者であって、その対償として賃金が支払われる者と定められています。しかし実際には、指揮監督の程度や態様の多様性、支払われる報酬の性格の不明確さなどから、労働者であるかどうかの判断が困難な場合があります。その場合、労働者性の判断にあたっては、労務が提供される形態や報酬の内容、これらに関連するいろいろな要素をも勘案して、総合的に判断されることになります。

実態を重視して判断する
 業務委託契約が適当かどうかを具体的に判断するにあたっては、労働者性を判断する法令解釈をもとにすると、次のような要素に整理されるものといえるでしょう。
①仕事の依頼や業務従事の指示などに対して諾否の自由があること
②業務を遂行する上で指揮命令を受けていないこと
③勤務する場所や時間が指定され、管理されていないこと
 業務の性質や安全を確保する必要などから、必然的に勤務する場所や時間が指定される場合もあるので、その指定が業務の性質などによるものか、業務の遂行を指揮命令する必要によるものかを見極める必要があります。
④報酬が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることへの対価ではないこと

 このほか、業務の実態などケースバイケースで、報酬の額(同種の業務に従事する労働者より高額であること)や専属の度合い(他社業務に従事することが制約されないこと)なども補足的に判断の要素とされることがあります。