元田事務所ニュース 2016年05月号 3面 安全・労働衛生

職場の安全&衛生
過重労働対策と「かとく」


過重労働対策

 長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられ、さらには、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られています。働くことにより労働者が健康を損なうようなことはあってはならないものであり、この医学的知見を踏まえると、労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除していくことが必要となります。
 特に、昨今は働き方の多様化が進む中で、長時間労働に伴う健康障害の増加など労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化してきていることから、「日本再興戦略」に「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれたり、「過労死等防止対策推進法」が成立するような状況になっています。
 このような状況を踏まえて、平成26年9月30日、厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」が厚生労働省内に設置され、様々な取組みが行われています。
 「かとく」もこの取組みの中の一つですが、対外的にもその動向が注目されています。そこで、今回はこの「かとく」についてみていきたいと思います。


「かとく」

「かとく」とは、過重労働撲滅特別対策班の通称です。平成27年4月1日に、過重労働にかかる大規模事案、困難事案に対応するための専従対策班として東京労働局と大阪労働局に設置されました。
 その具体的業務については、「長時間にわたる過重な労働が行われ、労働基準関係法令に違反し、または、違反する疑いがある事案であって、①監督指導において事実関係の確認調査が広範囲にわたる事案 ②司法事件で捜査対象が多岐にわたる事案 ③被疑事実の立証等に高度な捜査技術を必要とする事案等について、積極的かつ効率的な処理を行う。」とされています。
 現在までに3件、「かとく」により送検されています。東京では、靴販売のチェーン店を営む会社、総合ディスカウントストア業を営む会社、大阪では、外食チェーン店を営む会社が、法定労働時間を超えて長時間労働となる違法な時間外労働をさせたもの等で送検されています。
 「かとく」は、マスコミにも取り上げられやすく国民の注目度も高いことから、厚生労働省の施策のアピールとしても大事な位置づけになっていると思います。東京労働局の送検後の記者会見においても塩崎厚生労働大臣は、「『かとく』には更に頑張ってもらって、こういった事例を見つけ次第しっかりと調査をして、今回のようなことにつながるように頑張ってもらう」と発言しています。
 このようなことから、厚生労働省は今後も「かとく」について手を緩めることはせず、対象となる事案について積極的に取り組んでいくものと思われます。そこで、企業側は今までにも増して長時間労働対策についてしっかり取り組み、労働者の健康確保に努める必要があると思われます。