元田事務所ニュース 2016年04月号 2面 ニュース

最高裁が初めて判断を示す
退職金の減額は「十分な説明が必要」

 信用組合が合併を繰り返した経緯で生まれた山梨県民信用組合が退職金を減らす変更をしたのは不当だとして、旧信組出身の元職員が合併前の基準での支払いを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁(第2小法廷)は2月19日、賃金や退職金を減額するなどの不利益変更には「事前に経営者側が十分な説明を行うなど、労働者側が自由意思に基づいて同意していることが必要だ」として、元職員が敗訴した二審判決を破棄。審理を東京高裁に差し戻しました。退職金の減額について最高裁が判断を示したのは初めてだということです。
 同信用組合は、平成16年に新たな退職金規定を導入し、職員側も同意していましたが、旧信組出身の職員にとっては、退職金が一切支払われないか、または大幅に減額される内容だったことから訴訟となっていました。一、二審ではいずれも変更時の職員側の同意は有効だとして請求は棄却されましたが、最高裁は「労働者は経営者側の命令に従うべき立場にあり、意思決定の基礎になる情報収拾能力も限られる。形式的に同意しているだけでは不十分だ」と指摘しました。


労災補償業務で厚労省が通達
実労働時間の把握、「IC定期券」も利用へ

 厚生労働省はこのほど、都道府県労働局長宛に「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」と題した通達を発出しました。
 通達では、労災請求のうち長期にわたって決定が出されていない過労死などの事案においては、実際の労働時間の把握が重要であることから、タイムカードなどの実労働時間と直結する資料が得られない場合には、同僚、取引先や家族からの聴取に加えて、事業場建物への入退館記録、パソコンによる作業履歴の分析、さらにはIC定期券などの乗車記録の確認を行うことで、労働時間の迅速・適正な把握を行うことを示しています。
 このほか、長期未決事案などについて、迅速な処理と進行管理の徹底により解消することや、請求人などへの懇切、丁寧な対応を行うことなどが盛り込まれています。


経産省が企業情報漏えい防止策を示す
「秘密情報の保護ハンドブック」を公表

 経済産業省はこのほど、営業秘密など企業情報の漏えい防止対策を示す手引書となる「秘密情報の保護ハンドブック」を作成、公表しました。
 秘密漏えい防止のためには、働きやすい職場環境を整備し、公平な人事評価制度の運用を通じて企業への帰属意識や仕事に対する意欲を高めることが最も有効な対策だとしたうえで、情報へのアクセス権の適切な管理に努め、人事異動時には情報を利用できる者の範囲を確実に変更することが重要だとしています。
 具体的な対策としては、①秘密情報に「近寄りにくくする」(アクセス権の限定、施錠管理)、②秘密情報の「持出しを困難にする」(私物USBメモリ等の利用禁止)、③漏えいが「見つかりやすい環境づくり」(レイアウトの工夫、防犯カメラの設置)、④「秘密情報と思わなかったという事態を避ける」(マル秘表示、ルール周知)、⑤社員の「やる気を高める」(ワークライフバランス、社内コミュニケーション)が挙げられています。