非正規労働者が4割まで増加 2015年12月号


1面 表紙
《就業形態の多様化に関する総合実態調査》
  調査開始以降初めて、正社員以外の労働者(非正規労働者)の割合が40.0%に到達

2面 ニュース
《平成27年「高年齢者の雇用状況」》
  希望者全員が70歳以上まで働ける企業が2割超え
《介護休業給付金の引上げ検討》
  労働政策審議会が仕事と介護の両立を後押しする制度への改正の一環として引上げ検討を了承
《厚生労働省まとめによる平成24年3月卒業者の状況》
  卒業後3年以内の離職率について、大学卒以外は前年と比べて増加
《厚労省が初の調査結果を公表》
  学生アルバイト経験者の約半数が「労働条件等で何らかのトラブルがあった」と回答

3面 安全・労働衛生
《冬季における職場の健康管理》
  感染症対策及び循環器疾患発症のリスクと対策について解説

4面~5面 参考資料
《年休取得率47.6%、やや低下》
  厚生労働省発表の「平成27年就労条件総合調査」結果と概要
    産業別にみた労働者1人平均年次有給休暇の取得状況(グラフ)
    産業別にみた労働者1人平均所定内賃金(表)
    諸手当の種類別にみた1人平均支給額(表)

6面 労務管理
《トラブル回避の対応術》
  半日単位の年休はどう決める?

7面 社会保険
《社会保険の実務サポート》
  マイナンバー制度による法人番号の指定と活用について
   (法人番号公表サイト)http://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

8面 派遣法
《平成27年改正労働者派遣法のポイント(第2回)》
  派遣先事業主が留意すべき点
   ③意見聴取手続き(派遣の受入れの継続の是非について労使間での話し合い)
   ④派遣労働者のキャリアアップ支援について
   ⑤労働契約申込みみなし制度について


 厚生労働省が11月4日に発表した「就業形 態の多様化に関する総合実態調査」による と、パートタイマーや派遣労働者など正社員 以外の労働者(非正規労働者)の割合が、平 成26年10月1日時点で40.0%と、調査を開 始してから初めて4割に達したことがわかり ました。  調査は従業員5人以上の事業所約17,000力 所などを対象として実施されたもので、今回 から公立の学校や病院なども加わっています。  全労働者に対する非正規労働者の割合をみ ると、パート労働者が23.2%、契約社員が3.5 %、嘱託社員(再雇用者)が2.7%、派遣労働 者(受入れ)が2.6%などとなっています。  また、非正規労働者を雇用する理由(複数 回答)としては、「賃金の節約のため」(38.6%) が最も多く、次いで「仕事の繁閑に対応する ため」(32.9%)、「即戦力・能力のある人材を 確保するため」(30.7%)などと なっています。  厚生労働省では、今年6月に 閣議決定された「日本再興戦略」 (改訂2015)に基づき、来年1月 に「正社員転換・待遇改善実現 プラン(5力年計画)」を策定。 本意によらないで非正規労働 者となっている比率などに目 標値を設定し、正社員への転換 や待遇改善などの取組みを加 速させるとしています。


 厚生労働省がまとめた平成27年「高年齢 者の雇用状況」の集計結果によると、6月1日 現在、定年制の廃止、定年の引上げ、継続雇 用制度の導入のいずれかの措置を実施してい る企業は99.2%で、前年(98.1%)よりも増 加しています。  希望者全員が65歳以上まで働ける企業は 72.5%(前年71.0%)、70歳以上まで働ける企 業が20.1%(同19.0%)で、2割を超えました。  企業規模別では、65歳以上までは、中小企 業で74.8%、大企業で52.7%、70歳以上ま では、中小企業で21.0%、大企業で12.7% と、中小企業の取組みの方が進んでいます。  なお、この集計結果は、高年齢者雇用安定 法に基づく報告を行った従業員31人以上の 企業約15万社の状況をまとめたものです。  労働政策審議会は11月2日の部会で、雇用 保険から支給される介護休業給付の金額の引 上げを検討することについて了承しました。  介護休業給付の平成26年度の受給者数は 9,600人で、増加傾向にはあるものの、制度 開始以来、年間で1万人に満たない状況が続 いています。  このため、現在は休業開始前の賃金の40% となっている額を、育児休業給付を参考に引 き上げる案を軸として検討を進めるとしてい ます。  また、介護休業の取得についても、家族1人 につき原則1回となっている要件を改め、複 数回に分割して取得する場合も対象とするな ど、給付金の増額と合わせて利用を促し、仕  事と介護の両立をさらに後押しする制度への  改正に取り組むとしています。  厚生労働省はこのほど、平成24年3月に 卒業した新規学卒者の卒業後3年以内の離職 状況について取りまとめました。  大学卒は32.3%で、前年と比べて0.1ポ イントの減少となりましたが、その他は、短 大等卒が41.5%(同0.3ポイント増)、高校 卒が40.0%(同0.4ポイント増)と、いずれ も増加しています。  また、産業別にみると、離職率が最も高い のは「宿泊業・飲食サービス業」(大学卒が 53.2%、高校卒が66.2%)で、次いで「生活 関連サービス業・娯楽業」、「教育・学習支援 業」の順となっています。  厚生労働省が11月9日に公表した「アルバ イトをした経験がある大学生や短大生らに対 する意識調査」によると、アルバイトの件数 1,961件のうち48.2%で「労働条件等で何ら かのトラブルがあった」と回答していること がわかりました。  内容をみると、労働条件を示した書面を交 付されていないとの回答が半数を超え(58.7 %)、トラブルに関するものでは、「準備や片付 けの時間に賃金が支払われなかった」(13.6%)、 「労働時間が6時間を超えても休憩時間がな かった」(8.8%)など、労働基準法違反とみ られるものもありました。


 冬季においては、職場の健康管理を進めてい く上で、寒さに関連するインフルエンザ等の感 染症と循環器疾患対策を考える必要があります。  感染症は誰にでも起こり得ますし、寒くなる と循環器疾患の発症リスクが高くなります。今 回は、この冬季の寒さによる健康障害とその対 策を考えてみたいと思います。  冬季に職場で流行する感染症は、インフルエ ンザ、ノロウイルス等ですが、これについては、 労働者にしっかり衛生教育をして感染を拡大さ せないようにする必要があります。  具体的には、以下の事項を徹底することが必 要となります。 ①食事の前、トイレの後、くしやみの後などは  必ず石けんで手を洗う。手洗い後はぺ-バー  タオルまたは自分のハンカチを利用すること  とし、タオルやハンカチの貸し借りはしない。 ②咳があるときは必ずマスクを着用する。 ③発熱・下痢症状等のある者は、直ちに会社に  申告をして出勤しない。職場で発熱したとき  は別室で休み、帰宅する。 ④インフルエンザ予防接種を受けることを推奨  する。 ⑤嘔吐物の処理について、清掃のルールを決め、  必要な薬品や備品を整備する。 ⑥トイレを汚した場合は、当人がその都度、規  定された清掃用具、消毒剤を用いて清掃する  よう指導する(汚染を放置しない)。  私たちの身体は寒くなると血管を収縮させて 体温低下を防ぎます。さらに交感神経系が刺激 されて心臓の活動が活発になるため、結果とし て血圧が上がりやすく血管に負担がかかりがち になります。それが冬季に血管の病気(循環器 疾患)が増える理由です。特に寒暖差が大きい 場面で発症リスクが大きくなります。  循環器疾患のリスク因子としては高血圧症、 糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高尿酸血症、 肥満等の生活習慣病、加えて喫煙習慣、飲酒習 慣等の生活習慣があります。  これらについては、定期健康診断を労働者に 確実に受診してもらい、有所見者については就 業上の注意点に関して産業医等から意見を聴く 必要がありますし、すでに循環器疾患にり患し ている労働者に対しては、労働時間や作業量等 を適切に管理していく必要があります。  冬季の健康リスクをなくすために、職場では 以下のことに気を付けましょう。 ①管理者の対応-不調の察知  朝のミーティングなどで、管理者が労働者の 体調(下痢、咳、発熱、睡眠不足、体調不良な ど)を確認しておき、不調者を早期に発見して 適切に対応することが大事です。 ②労働者の対応-十分な寒さ対策と健康管理  寒さに合わせて自らも意識して健康管理を行い、 暖房で汗をかいた場合、汗で濡れた服は風邪を ひきやすくさせ体調悪化の原因になるのでこま めに着替えることとし、また、年末年始の暴飲 暴食は控えて十分な睡眠を取ることも必要です。


 このほど厚生労働省が発表した「就労条 件総合調査」(平成27年1月1日現在、常 用労働者30人以上の4,432社から回答) によると、昨年の年次有給休暇の取得日数 は前年比0.2日減の8.8日、取得率は同 1.2ポイント減の47.6%で、2年ぶりに低 下したことが分かりました。政府が掲げ ている平成32年までに年休取得率を70% にするという目標からはますます遠のい たと言えるでしょう。  なお、平成27年調査から会社組織以外 の法人(医療法人、社会福祉法人等)及び 「複合サービス事業」が調査対象に加えら れました。 《所定労働時間》  1日の所定労働時間は、1企業平均7時間  45分(前年7時間43分)、労働者1人平均7  時間45分(同7時間44分)となっている。  また、週所定労働時間は、1企業平均39時間 26分(同39時間29分)、労働者1人平均39時 間03分(同39時間05分)で、1企業平均を 産業別にみると、「金融業、保険業」が38時 間00分で最も短く、「宿泊業、飲食サービス 業」が40時間17分で最も長くなっている。 《週休制》  主な週休制の形態をみると、「何らかの週 休2日制」を採用している企業は85.2%(前 年84.3%)。そのうち「完全週休2日制」は 50.7%(同46.9%)で、これを産業別にみる と、「金融業、保険業」が91.2%で最も高く、 「鉱業、採石業、砂利採取業」が22.6%で最 も低くなっている。 《年次有給休暇の取得状況》  平成26年1年間に企業が付与した年次有 給休暇日数(繰越日数は除く。)は、労働者1 人平均18.4日(前年18.5日)。そのうち労 働者が取得した日数は8.8日(同9.0日)で、 取得率は47.6%(同48.8%)となっている。 ※産業別に関しては下図を参照のこと  なお、年次有給休暇 を時間単位で取得でき る制度がある企業は 16.2%(同11.8%)と なっている。 《変形労働時間制》  変形労働時間制を採 用している企業は52.8 %(前年55.6%)。これ を産業別にみると、「鉱 業、採石業、砂利採取


業」が83.2%で最も高く、「金融 業、保険業」が25.8%で最も低く なっている。  また、種類別(複数回答)にみる と、「1年単位の変形労働時間制」が 30.6%(同35.4%)、「1カ月単位 の変形労働時間制」が20.3%(同 17.9%)、「フレックスタイム制」 が4.3%(同5.3%)となっている。 《時間外労働の割増賃金率等》  時間外労働の割増賃金率を「一 律に定めている」企業は80.3% (前年82.0%)で、そのうち割増賃 金率を「25%」とする企業は93.8 %(同93.5%)、「26%以上」は6.1%(同6.5%) となっている。  また、1カ月60時間を超える時間外労働に係 る割増賃金率を定めている企業は25.7%(前 年29.3%)で、そのうち割増賃金率を「25~ 49%」とする企業は46.1%(同45.7%)、「50 %以上」は53.2%(同54.0%)となっている。  なお、割増賃金の支払いに代えて有給 の休暇を付与する「代替休暇制度」がある 企業は20.6%(同27.0%)となっている。 《諸手当》  平成26年11月分の常用労働者1人平 均の所定内賃金は31万1,635円。その うち基本給は26万9,397円、諸手当は 4万2,238円で、所定内賃金に占める諸手 当の割合は13.6%となっている。(産業 別を含め上表参照)  平成26年11月分の諸手当を支給した 企業割合を諸手当の種類別(複数回答) にみると、「通勤手当など」が91.7%で最も 高く、次いで「役付手当など」87.7%、「家族 手当、扶養手当、育児支援手当など」66.9% などとなっている。  また、労働者1人平均の諸手当の支給額を 種類別にみると、「業績手当など」が5万7,125 円で最も高く、次いで「単身赴任手当、別居 手当など」4万6,065円、「役付手当など」3万 8,769円などとなっている。(下表参照)


 年次有給休暇は、原則としては1労働日を 単位とするもので、使用者は労働者に半日単 位で付与する義務はないものとされています が、使用者が認めれば、半日単位で付与して も差し支えないことになります。  この場合の「半日」とは、法令においては 定めがありませんが、労働日における「1日」 が午前0暗から始まる暦日を単位とするのが 原則とされているので、一般的には、午前・ 午後をそれぞれ半日とするのが適当であると いう考えがあります。このほうが労働者の休 養にあてるという年次有給休暇の趣旨からし ても、昼の休憩時間を境にすれば半日休暇が 取りやすいという面はあるでしょう。  しかし、午前と午後で所定労働時間の長さ に偏りがあると、この方法が正しいのかどう か疑問が出ることもやむを得ないところです。  最終的には、使用者の判断で半日の単位の 扱いを決めれば良いのですが、偏りがないよ うに、1日の所定労働時間の半分の区切りで 決めたとしても、質問のケースの場合、後半 で半日休暇を取得した場合は、午前の3時間 に加えて休憩時間帯にも1時間分勤務しなけ ればならず、運用の面で使い勝手が良くない こともあります。  労働基準法では、労使協定を締結すること により、1年に5日を限度として、時間単位 で年次有給休暇を付与できることも定められ ています。  時間単位も可能にすれば、従来の午前・午 後にそれぞれの所定労働時間分の休暇を取得 したことになり不公平感も解消され、また、 半日まで必要がない場合に、必要な時間で休 暇を取得することもできるので、使い勝手も 良くなります。  このように、年休の管理で複雑にはなりま すが、半日単位の与え方で不満や問題を抱え たままより、時間単位を取り入れたほうが良 い場合もあるでしょう。  時間単位の年次有給休暇は、導入にあたっ て労使協定に定めておくべき内容として、次 の4項目が決められています。 ①時間単位年休の対象労働者の範囲 ②時間単位年休の日数(年5日を上限として  定める) ③時間単位年休1日の時間数 ④1時間以外の時間を単位とする場合はその  時間数  なお、年休の時間単位付与を導入した場合 でも、半日単位の付与を残すことができま す。したがって、時間単位での取得と半日単 位での取得を併用する場合は、その扱いにつ いても決めておくことが望ましいでしょう。