働く既婚女性の率が大幅に上昇 2015年11月号


1面 表紙
《働く既婚女性の率が大幅に上昇》
  女性の年齢階級別労働力率でみる「35~39歳」は初めて7割超
《11月は労働保険適用促進強化期間》 
  厚生労働省では労働保険(雇用保険・労災保険)の加入促進のための事業を展開

2面 ニュース
《所得税法施行規則等を改正》
  本人交付の源泉徴収票については、漏えいや減失などの防止のため個人番号記載は不要
《監督を実施した事業場の6割が違法残業》
  厚生労働省は長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果を公表
《厚生労働省が納めた年金保険料に対する年金給付額を試算》
  公的年金の生涯給付額は世代間での格差が拡大
《労働基準法改正案は継続審議》
  9月27日に閉会した通常国会に提出されていた「改正労働基準法案」が継続審議扱いに

3面 安全・労働衛生
《災害統計 ― 事故の型と起因物》
  労働災害の防止に必要な災害統計を見る際の基本について解説

4面~5面 参考資料
《「平均給与」が2年連続でプラス》
  国税庁発表の「民間給与実態統計調査」の概要
    平均給与と対前年増減率の推移(グラフ)
    事業所規模別の平均給与(表)
    業種別の平均給与(グラフ)

6面 労務管理
《トラブル回避の対応術》
  家賃の補助は割増賃金の計算から除外できるのか?

7面 社会保険
《社会保険の実務サポート》
  事業者が実施するマイナンバーの安全管理措置の内容について解説

8面 派遣法
《平成27年改正労働者派遣法のポイント》
  派遣先事業主が留意すべき点
   ①派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇の推進について
   ②期間制限ルールの変更について(図解)


 厚生労働省がこのほど公表した「平成26年 版働く女性の実情」によると、女性の労働力 率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合) は49.2%と、前年に比べて0.3ポイント上昇 しています。  労働力率を年齢階級別にみると、いわゆる 「M字型カーブ」(グラフを参照)の底にあたる 「35~39歳」では70.8%で、前年よリ1.2 ポイント上昇し、初めて7割を超えました。 10年前と比べてみても、各年齢階級でおおむ ね労働力率は上昇していますが、上昇幅が最 も大きいのは「30~34歳」で、平成16年か ら9.6ポイント上昇しています。  配偶者関係別での労働力率は、未婚者が 63.6%、配偶者のいる女性(有配偶者)が 50.7%で二「30~34歳」の階級では、10年 前に比べて、未婚者の上昇幅が0.2ポイント であるのに対して、有配偶者については11.8 ポイントと上昇幅が大きくなっています。  また、「25~29歳」の有配偶者の労働力率 も10年前に比べて9.8ポイントの上昇とな るなど、近年、企業において育児休業や育児 短時間勤務制度などが浸透し、出産や子育て のために離職する女性が少なくなったことな どが要因とみられています。  厚生労働省では、労働保険(雇用保険・労災保険)の加入を一層促進していくため、11月を「労働保険適用促進強化期間」として設定し、全国的に労働保険の適用促進の広報活動や未加入事業場に対する適用促進指導等の事業を広く展開しております。      ハローワーク(公共職業安定所)                     労働基準監督署


本人交付の源泉徴収票への個人番号記載は不要 10月から通知が行われているマイナンバ ー(個人番号)について、10月2日に所得 税法施行規則等の改正が行われ、平成28年 1月以降も、給与などの支払いを受ける人 に交付する源泉徴収票などへの個人番号の 記載は行わないこととされました。  改正前は、個人番号を記載して交付しな ければならないこととされていましたが、 交付の際に漏えいや滅失などの防止の措置 を講ずる必要が生じ、従来より負担がかか るといった要望に配慮されました。  なお、税務署に提出する源泉徴収票など には個人番号の記載が必要となっています。 監督を実施した事業場の6割が違法残業  厚生労働省はこのほど、今年4月から6月 までに実施した長時間労働が疑われる事業 場に対する監督指導の結果をまとめました。  対象となったのは1カ月当たり100時間 を超える時間外労働が行われていた事業場 や、長時間労働による過労死などに関する 労災請求があった事業場で、監督を行った 2,362事業場のうち、違法な時間外労働が あったものが1,479事業場と全体の62.6% となっています。  集計結果とあわせて、三六協定で定めた 限度時間を超えて1カ月約120時間の違法 な時間外労働を行わせるとともに、同協定 で休日労働に関して定めることなく違法な 休日労働を月に3日行わせていたなど、い くつかの事例が公表されています。 年金の生涯給付額、世代間格差が拡大  厚生労働省はこのほど、納めた公的年金 の保険料に対し、生涯でどれだけの給付を 受けられるかの試算を公表しました。  試算は世代ごとに行われ、厚生年金では、 夫がサラリーマン、妻が専業主婦というモ デルで、今年70歳(1945年生まれ)にな る世代では、負担した保険料の5.2倍の給 付を受け取れる見込みで、5年前の試算の 4.7倍を上回りました。  一方、30歳(1985年生まれ)以下の世代 は、前回と同じ2.3倍にとどまり、世代間 での格差が拡大しています。 労働基準法改正案は継続審議に  9月27日に閉会した通常国会に提出され ていた「改正労働基準法案」は、質疑など が行われないまま会期末となり、継続審議 の扱いとなりました。  同法律実は、一定日数の年次有給休暇に ついて時季を指定しての付与を事業主に義 務づけること、中小企業における月60時間 超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予 を改正法の施行日(平成28年4月1日)か ら3年後に廃止すること、一定額以上の年 収がある高度な専門的知識を必要とする業 務に就く労働者について、本人の同意など を要件として、労働時間、休日、深夜の規 制を適用除外とすることなどが主な内容と なっています。


 労働災害の統計は、毎年または一定の期 間ごとに、厚生労働省、労働局、労働基準 監督署等から発表されています。労働災 害が発生したとき、このような災害が二度 と起こらないようにするために各企業で その防止対策を考えますが、そのために は、それがどんな型の災害だったか(事故 の型)、そして、災害をもたらすもととな つたものは何なのか(起因物)を考える必 要があります。  これをまとめたものが災害統計ですが、 今回はこの災害統計を見る際の基本を説 明したいと思います。  事故の型とは、傷病を受けるもととなった 起因物が関係した現象のことをいいます。例 えば、濡れた床で足が滑り転倒したとか、機 械を修理中に手を挟まれたとか、脚立がぐら つき脚立上から転落したなど、災害発生の状 況を「事故の型」として示しています。  事故の型は、「墜落・転落」、「転倒」、「激突」、 「飛来・落下」、「崩壊・倒壊」、「激突され」、「は さまれ・巻き込まれ」、「切れ・こすれ」、「踏 み抜き」、「おぼれ」、「高温・低温の物との接 触」、「有害物等との接触」、「感電」、「爆発」、 「破裂」、「火災」、「交通事故(道路)」、「交通事 故(その他)」、「動作の反動・無理な動作」、「そ の他」、「分類不能」の21に分類されています。  ここで、「墜落・転落」と「転倒」の違いで すが、人が階段や梯子などから落ちる場合に は「墜落・転落」となり、人がほぼ同一平面 上でころぶ場合は「転倒」となります。  複数の型が競合する場合は、災害防止対策 を考える上で、主要なものを選択することと しています。  起因物とは、災害をもたらすもととなった 機械、装置もしくはその他の物または環境の ことをいいます。これは、災害分析や再発防 止を考える上で重要なポイントとなります。 特に、事故の型と組み合わせて分析すること により、より適切な再発防止対策を検討する ことができます。  起因物は、「動力機械」、「物上げ装置、運搬 機械」、「その他の装置等」、「仮設物、建築物、 構築物等」、「物質、材料」、「荷」、「環境等」、 「その他」の8項目に大きく分類され、それを 分けた25項目の中分類、さらにそれを細分 化した101項目の小分類に分類されています。  ここで注意することは、災害をもたらす直 接のものは、いわゆる加害物であって、これ は常に起因物とは限らないということです。 例えば、車に轢かれたという場合は、加害物 も起因物も車ですが、道路で転倒して側溝に 頭をぶつけた場合は、加害物は側溝で、起因 物は道路ということになります。  災害統計を作ってみると、各企業の災害の 傾向が分かります。それを分析して災害防止 対策を樹立することが大事です。


このほど国税庁が発表した「民 間給与実態統計調査」によると、 民間企業に平成26年1年間を通 じて勤務した給与所得者(パート・ アルバイト等の非正規労働者を含 む)が受け取った平均給与(*)は 415万円と前年を1万4,000円 (0.3%)上回り、2年連続で増え たことが分かりました。 *「平均給与」とは、給与支給総額を 給与所得者数で除したもの。  1年を通じて勤務した給与所得者数は4,756 万人(男性2,805万人、女性1,951万人)で、 前年に比べ111万人(2.4%)増加している。  また、給与所得者1人当たりの平均給与は 415万円で、前年に比べ1万4,000円(0.3 %)増加。これを男女別にみるとこ 男性514 万4,000円、女性272万2,000円で、男性は 3万1,000円(0.6%)、女性は7,000円(0.3 %)それぞれ増加している。  平均給与415万円の 平均給与と対前年増減率の推移  事業所規模別の平均給与


内訳をみると、平均給料・手当は352万6,000 円(男性433万6,000円、女性236万1,000 円)で、平均賞与は62万5,000円(男性80万 8,000円、女性36万1,000円)となっている。  次に、平均給与を雇用形態別にみると、正 規は477万ろ000円(男性532万3,000円、女 性359万3,000円)で前年に比べ4万7,000 円(1.0%)、非正規は169万7,000円(男性222万円、女性147 万5,000円)で同1万9,000円(1.1%)そ れぞれ増加している。 10人未満の事業所では330万6,000円 (男性411万4,000円、女性236万9,000 円)で、5,000人以上の事業所では507万 8,000円(男性680万6,000円、女性267 万7,000円)となっている。(前ぺ-ジの表 参照)  最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水 道業」の655万円、次いで「金融業、保険 業」の610万円で、最も低いのは「宿泊業、 飲食サービス業」の237万円となってい る。(上図参照)  1年を通じて勤務した給与所得者4,756 万人について、給与階層別分布をみると、 300万円超400万円以下が824万人(17.3 %)で最も多く、次いで200万円超300万 円以下が803万人(16.9%)となっている。  これを男女別にみると、男性は300万円 超400万円以下が514万人(18.3%)で最 も多く、次いで400万円超500万円以下が 488万人(17.4%)となっている。  女性は100万円超200万円以下が512万 人(26.2%)で最も多く、次いで200万円 超300万円以下が432万人(22.1%)とな つている。  1年を通じて勤務した給与所得者4,756  万人のうち、源泉徴収により所得税を納税  したのは84.6%の4,026万人で、その税 額は8兆5,124億円と前年に比べ2,217 億円(2.7%)増加している。


当社では、このたび本社移転に伴い、 本社の近隣に転居する社員に対して、 転居費用の補助および転居後3年間は、 家賃についても補助する制度を設ける ことになりました。  家賃の補助として、毎月一定額を給 与とあわせて支給する方法の場合、こ れを割増賃金の計算の基礎から除外し ても問題はないでしょうか。このほか、 注意するぺきことはありますか?  労働基準法および同法施行規則では、割増 賃金の基礎となる賃金には算入しないものと して、家族手当、通勤手当のほか、別居手当、 子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた 賃金、1カ月を超える期間ごとに支払われる 賃金が挙げられています。  ここでいう「住宅手当」とは、手当の名称に 関わらず、住宅に要する費用に応じて算定さ れる手当をいいます。  具体的には、賃貸住宅については、居住に 必要な住宅の賃借のために必要な費用、持ち 家については、居住に必要な住宅の購入、管理 などのために必要な費用を対象として、費用 に定率を乗じた額とすることや、費用を段階 的に区分し費用が増えるにしたがって額が多 くなるように決められているものをいいます。  住宅に要する費用以外の費用に応じて算定 される手当や、住宅に要する費用にかかわら ず、一律に定額で支給される手当は、割増賃  金の基礎となる賃金から除外される住宅手当  にはあたりません。  質問のケースでは、「家賃補助」という名目 で毎月の給与とあわせて支給するということ ですが、実質的には、住宅の賃借のために必 要な費用を支給するので、これも住宅手当と 同様に考えるのが適当でしょう。  一定額を家賃補助として支給する場合、前 記のとおり、補助額が住宅に要する費用に応 じて算定されるものであれば、割増賃金の基 礎としなくてもよいことになります。  例えば、1カ月の家賃の20%や、家賃が月 額5~10万円の場合は2万円、10万円を超 えるときは3万円を毎月補助するのであれば、 費用に応じて算定されることになります。  一方で、補助額を対象者全員一律にしてい る場合や、区分に応じて支給することとされ ているとしても、例えば、扶養家族がある人 には2万円、扶養家族がない人には1万円を 補助するというように、住宅以外の要素に応 じて支給される場合には、割増賃金の基礎か ら除外することはできないことになります。  支給基準をどのように設定するかは、経営 者の判断になるでしょうが、単に家賃の補助 だといっても、雇用する労働者に対して住宅 の賃借のために必要な費用を支給するので、 労基法上は賃金にあたります。トラブルになら ないためにも、就業規則や賃金規程に支給の 要件や支給額などを定めて、その取扱いを明 確にしておくことが大切だといえるでしょう。