平成27年度全国労働衛生週間 2015年10月号


1面 表紙
《平成27年度 全国労働衛生週間》
  〈期間〉10月1日から7日まで
  〈スローガン〉職場発!心と体の健康チェック はじまる 広がる 健康職場
《働く人の健康を守る電話相談窓口を開設》 
  働く人のメンタルヘルス不調や過重労働による健康障害に関する相談窓口『こころほっとライン』
   【専用ダイヤル】 0120-565-455(通話料無料 携帯、PHSからも利用可)
   【受付日時】 月・火/17:00~22:00、土・日/10:00~16:00(祝日、年末年始除く)
   【対象者】 労働者やその家族、企業の人事労務担当者など

2面 ニュース
《地域別最低賃金額改定の答申状況》
  全国加重平均が昨年度より18円上昇し、平成14年度以降最大の引上げ幅
《改正マイナンバー法が成立》
  金融や医療などの分野に利用範囲拡大を目的とした改正マイナンバー法が衆院本会議で可決、成立
《マタハラで事業所名を初めて公表》
  妊娠を理由とした解雇を撤回しなかった医院の名称、理事長の実名などを公表
《改正労働者派遣法が成立》
  企業の派遣受入れ期間の制限を見直す改正労働者派遣法、施行日は9月30日

3面 安全・労働衛生
《段取り八分と労働安全》
  安全を確保するための段取り八分について解説

4面~5面 参考資料
《6割が「老後の所得保障の充実」を希望》
  厚生労働省発表による「平成25年社会保障制度改革に関する意識等調査」の概要
    今後充実させる必要があると考える社会保障の分野(グラフ)
    今後の社会保障の給付と負担の水準についての考え方の組合せ(表)

6面 労務管理
《トラブル回避の対応術》
  協定締結や就業規則は事業場ごとに必要か?

7面 社会保険
《社会保険の実務サポート》
  マイナンバーの安全管理措置

8面 参考資料
《国民生活に関する世論調査の概要》
  悩みや不安を感じていると回答した人の5割が「老後の生活設計」に不安
    悩みや不安の内容(複数回答)(グラフ)


元田事務所ニュース  発行所 元田社会保険労務士事務所     労働保険事務組合労働者福祉組合  今年で第66回を迎える全国労働衛生週間は、10月 1日から7日までの1週間にわたって行われます。 近年、職場におけるメンタルヘルス不調や過重労働、 化学物質を原因とする健康障害防止対策が重要な課 題となっています。こうした状況を踏まえ、平成26 年6月に公布された改正労働安全衛生法では、スト レスチェック制度の導入や化学物質の適切な管理な どを推進し、業務上疾病の発生を未然に防止するた めの仕組みを充実させることとしています。  このような背景から、左記スローガンの下、事業 場における労働衛生意識の高揚とともに、自主的な 労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとされて います。  厚生労働省は9月1日より、働く人のメンタルヘルス 不調や過重労働による健康障害に関する電話相談窓口 「こころほっとライン」を開設しています。


 平成27年度地域別最低賃金の改定について、 8月24日までに、各都道府県の地方最低賃金審 議会の答申状況がまとまりました。(下表参照)  全国加重平均額は798円で昨年度より18円 上昇し、最低賃金額が時給のみで示されるよう になった平成14年度以降、最大の引上げ幅と なっています。  平成27年産地域別最低賃金改定の答申状況  マイナンバーの利用範囲を金融や医療などの  分野に広げることを目的とした改正マイナンバ ー法が、9月3日の衆院本会議で可決、成立し ました。  改正法では、金融機関などに預金情報をマイ ナンバーにより検索できる管理システムを義務 づけ、預金保険機構などによるペイオフ(金融 機関が破綻した場合の預金者保護)のための預 貯金の合算や、税務調査などで預貯金情報を効 率的に利用できるようにするとしています。  また、健康保険組合などが行う特定健康診査 の結果をマイナンバーと結びつけて管理するこ とで、転居や退職しても市区町村や健康保険組 合などの間で情報を共有できるようにすること なども盛り込まれました。  このほか、日本年金機構から情報が流出した 問題を受けて、マイナンバーと基礎年金番号を 結びつける時期を遅らせることになりました。  厚生労働省は9月4日、妊娠を理由とした女 性従業員の解雇を撤回しなかった医療法人(茨 城県牛久市)の医院の名称、理事長の実名など を公表しました。  男女雇用機会均等法では、妊娠・出産などを 理由とする解雇などの不利益な取扱いを禁止し ていますが、同医療法人は今年3月以降、茨城 労働局長による助言、指導、勧告のいずれにも 従わなかったため、7月に厚生労働大臣による 勧告を受けていました。  同法では、大臣による勧告にも従わない場合、 その旨を公表できる制度が設けられていますが、 今回の公表が初めての事案だということです。  企業の派遣受入れ期間の制限を見直す改正労 働者派遣法が9月11日、衆院本会議で可決、成立  しました。施行日は9月30日となっています。


 段取り八分とは、仕事を進める上で、事前の 準備がいかに重要かを表した言葉です。仕事の 段取りをキッチリしておけば、その仕事は8割 完了したのも同然であるという意味で使われて います。また、この言葉の後に、「仕上げは二 分」と続くこともあります。  この段取り八分は、労働安全でも使うことが あります。安全に作業を行うためには、段取り をしっかりしておくことが重要だからです。今 回は、安全を確保するための段取り八分につい て考えていきたいと思います。  建設業では危険な作業も多く、重篤な結果と なる事故も多いので、その施工にあたり事故を発 生させないためにもしっかりした段取りが必要 であるとされています。今回は建設業をモデルに しますが、考え方は他の業種にも応用できます。  安全な工事を進めるためには、工事を遂行す るにあたって危険や有害なものがないかどうか の調査を行う必要があります。その際に、あら ゆる角度からの情報収集が必要です。発注者や 元請等も重要な情報を有している場合がありま す。この事前調査をしっかり行うことが、しっ かりした計画の樹立につながります。  事前調査で収集した情報により、準備作業か ら工事完了までの施工計画(元請)や作業計画 (下請)を立てていきます。この計画段階では、 危険な作業に従事する場合に必要な作業主任者 等の資格、危険有害な作業を従業員に行わせる 場合に必要な特別教育、測定器や保護具の確保 等が計画に盛り込まれることが必要になります。  重層関係が特徴の建設業では、この段階でそ れぞれの立場に応じた計画を元請・下請の双方 で十分連絡・調整して樹立することが必要です。  実際の工事は、樹立した計画に基づいて進め られることになりますが、この時、施工計画や 作業計画に基づいた手順が守られているかをチ ェックする必要があります。  安全な作業を行うために立てた計画ですので、 それを守って作業することが安全確保のために は必要だからです。ですので、作業がある日は、 遵守状況を確認することが大事で、それに従わ ない場合は、是正や改善が必要になります。  事前調査・施工計画や作業計画の樹立までが、 段取りといわれる段階です。そこがしっかりで きていれば安全が確保できることになります。 ただし、場合によっては実行段階で問題が発生 する場合があります。そのような場合は、中身 をチェックして改善していくことも必要となり ます。すなわち、P(計画)D(実行)C(チェッ ク)A(改善)のサイクルを取り入れて全体を 考えることが必要になります。  このようにしてできた段取りはマニュアル化 することによって、次からの工事の参考にもな り、より良いものとなっていきます。


 このほど厚生労働省が発表した「平成 25年社会保障制度改革に関する意識等調 査」によると、今後充実させる必要がある と考える年金や医療などの社会保障の分 野(複数回答)として、64%の人が「老後 の所得保障(年金)」を挙げていることが わかりました。なお、この調査は20歳以 上の男女10,138人の有効回答を集計した ものです。 《今後、充実させるべき社会保障の分野≫  今後、充実させる必要があると考える社会 保障の分野(複数回答)は、「老後の所得保障(年 金)」が最も多く64.5%、次いで「高齢者医療 や介護」が51.7%、「医療保険・医療供給体制 など」が40.6%などとなっている。(下図参照) 《税や社会保険料の負担水準の感じ万》  現在の税や社会保険料の負担水準について は、「生活にはあまり影響しないが負担感が ある」が最も多く50.5%、次いで「生活が苦 しくなるほど重い」が39.1%、「特に負担感 はない」が6.8%などとなっている。  世帯の所得階層別にみると、400万円未満 では「生活が苦しくなるほど重い」が最も多 く、400万円以上では「生活にはあまり影響し ないが負担感がある」が最も多くなっている。 《社会保障制度を維持するための財源≫  今後の社会保障制度を維持するための財源 として、税と社会保険料のどちらを中心にす べきだと考えるかについては、「どちらかと 言えば税で賄うべき」が最も多く38.4%、次 いで「どちらかと言えば社会保険料で賄うべ き」が23.1%、「税で賄うべき」が21.1%、 「社会保険料で賄うべき」が7.4%などとな っている。  世帯の生活意識別にみると、苦しいと感じ ている世帯層では、他の世帯層に比べ、「税 で賄うべき」と考える人の割合が多く、ゆと りがあると感じている世帯層では、他の世帯 層に比べ、「どちらかと言えば社会保険料で 賄うべき」または「社会保険料で 賄うべき」と考える人の割合が多  くなっている。 《給付の水準についての考え方》  今後の社会保障の給付水準につ いては、「給付水準は維持すべき」 が最も多く48.2%、次いで「給付 水準はある程度引き上げるべき」 が29.4%、「給付水準はある程度 引き下げるべき」が7.7%などと なっている。


《負担の水準についての考え方≫  今後の社会保障の負担の水準については、 「現状程度の負担とすべき」が最も多く43.6 %、次いで「ある程度負担は減らすべき」が 21.8%、「ある程度の負担増はやむを得ない」 が20.7%などとなっている。 《給付と負担の水準についての考え方》  今後の社会保障の給付と負担の水準につい て、それぞれどのようにあるべきだと思うか についての組合せをみると、「給付水準は維持 すべき」と「現状程度の負担とすべき」の組 合せを選択した人の割合が最も多く30.0%、 次いで「給付水準はある程度引き上げるべき」 と「現状程度の負担とすべき」の組合せが10.4 %、「給付水準はある程度引き上げるべき」 と「ある程度の負担増はやむを得ない」の組 合せが9.9%などとなっている。(下表参照) 《介護保険などの満足度≫  現在、自分または自分の配偶者の親に対し て手助けや見守りを行っている人を対象に、 公的なサービス(介護保険など)について満 足しているかをみると、「やや満足」が最も 多く39.6%、次いで「やや不満」が26.1%、 「不満」が13.2%、「満足」が10.6%などとな つている。 《社会保障制度に関する情矧こ接する度合い》  社会保障制度に関する情報については、「そ の様な情報を見かけた時には、興味を持って 見るようにしている」が最も多く51.9%、次 いで「あまり興味はないが、時々その様な情 報に接することはある」が27.5%、「ほとんど その様な情報に接することはない」が14.8%、 「積極的にそれらの情報を集めている」が4.3% などとなっている。 《社会保障制度に関する情報の入手先》  社会保障制度に関する情報をどのような方 法(複数回答)で入手することが多いかにつ いては、「テレビ」が最も多く69.7%、次い で「新聞」が54.2%、「政府機関や地方自治 体のパンフレットな どの刊行物」が25.5 %などとなっている。 《取得した情報の内 容に対する満足度》  社会保障制度に関 して普段得ている情 報の内容について は、「やや満足」が 36.0%、「やや不満」 が35.9%とほぼ同 じ割合を占め、次い で「不満」が18.6%、「満足」が2.7%などと なっている。  また、不満である理由(複数回答)をみる と、「得られる情報がわかりづらい」が最も 多く66.8%、次いで「得られる情報の量が少 ない」が31.8%、「どのように情報を手に入 れればよいかがわからない」が27.8%など となっている。  今後の社会保障の給付と負担の水準についての考え方の組合せ


 当社では、このたび本社以外の営業拠 点を初めて設けることになりました。従 業員は5名を配置し、勤怠管理などは本 社で一括して行いますが、勤務時間と休 日は本社とは別に設定しています。  この場合、その拠点においては、すで にある三六協定や就業規則は本社のもの でカバーできるのでしょうか。それとも 新しく協定を締結し、就業規則も作成し なければならないでしょうか?  労働基準法では、就業規則や三六協定(時間 外労働・休日労働に関する協定)などの労使協定 には、その事業場において労働者の過半数で組 織する労働組合、それがない場合は労働者の過 半数を代表する者の意見を聴くことや協定締結 が必要ですので、適用の単位は、原則として事 業場ごとであるとされています。  ただし、営業所や出張所などで規模が著しく 小さく、組織的な関連や事務処理の能力などを 勘案して一つの事業という程度の独立性がない ものについては、直近上位の機構(本社など)と 一括して取り扱うことができます。  規模などについて、どこまでが上位の機構と 一括して扱える事業場なのかは、所属人数、業 務内容、責任者の配置の有無、労務管理の能力 といったことを基礎にして、個別に判断される ことになります。  労基法では、常時10人以上の労働者を使用 する使用者に就業規則の作成・届出が義務づけ られています。人数についても事業場単位でカ ウン卜しますので、一つの事業場に常時10人 以上の労働者がいる場合は作成・届出しなけれ ばなりませんが、10人未満の場合はその義務は ありません。  しかし、質問のケースのように本社と勤務時 間や休日が異なる場合には、働く上でのルール を明確にする意味において、就業規則を本社と は別に作成することが望ましいといえます。  三六協定は、時間外労働をさせる必要のある 具体的な事由や業務の種類、1日のほか一定期 間に延長することができる時間数、また、休日 労働させる場合は、その必要のある具体的な事 由や業務の種類、労働させることのできる休日 (法定休日)、休日労働の始業及び終業の時刻な どについての定めを締結します。  三六協定も、原則として事業場単位での締結 が必要とされているため、その事業場で組織す る過半数労働組合、それがない場合は過半数代 表労働者との協定締結になります。営業所や出 張所など小規模の事業場の場合、前述のとおり、 一つの事業場としての独立性がないと判断され たものは、直近上位の機構と一括することはで きます。  しかし、独立性がなくても質問のケースのよ うに本社と勤務時間や休日が異なるなど、三六 協定に関しても一括して運用ができないような 場合には、本社とは別に締結しなければならな いことになります。  なお、三六協定は労働基準監督署長へ届け出 ることで効力が生じますので、各事業場ごとに 締結された協定については、各事業場を管轄す る労働基準監督署に届け出ることが必要です。